釉薬調合は意外に簡単で、一番楽しい作業かもしれません。
「混ぜて、焼いて、試す」を繰り返し、自分だけのオリジナルを研究してみてください。
釉薬の役割
釉薬は、基本的にこの3つの役割を担っています。
装飾 | さまざまな色や釉調を表現することができる |
強度 | ガラスでコーディングすることで、より丈夫なうつわになる |
汚れにくさ | 水や汚れを吸収しにくくする |
釉薬に必要なもの
長石 | 灰 | 珪石 | 鉄 | 銅 | |
溶ける | ◎ | ||||
つなぐ | ◯ | ||||
ガラス | ◎ | ◎ | |||
色 | ◯ | ◯ |
長石
釉薬の主体となる成分です。(アルミナという土の成分も入っています)
基本的に「溶ける」「つなぐ」「ガラス」の3つの性質があれば釉薬になります。
表を見てみると、長石には「つなぐ」と「ガラス」の性質をがありますね。
では長石をかけておけば釉薬なるのでは?
でもここで大事なのは「融点」です。
土が焼き締まる温度と、同じ温度で溶ける釉薬を作らないといけません。
土に合わせて釉薬を作っていきます。
例えば、福島長石(比較的融点が低い)を使い、土の融点は1230度だとします。
この場合だと、福島長石だけでは1230度で溶けず、ザラザラした汚い仕上がりになってしまいます。
これでは釉薬として機能していません。(マット釉もマットすぎると汚れやすくて食器に向きません)
灰
長石だけでは土と同じ温度で溶けることができないことがわかりました。
では今度は何が必要なのか?
長石にも「溶ける」性質がありますが、土に合わせるにはもっと必要ですね。
それを補ってくれるのが灰です。
表を見てもわかるように、灰は「溶ける」性質に長けています。
先ほどの長石を主体にさまざまな比率で混ぜて、使う土の焼き締まる温度に合うように調整して作ります。
ここまでが釉薬の基礎の基礎になります。
長石と灰でできるのが、「基礎釉(透明釉)」と呼ばれるものです。
そしてこの基礎釉が上手にできると、それをもとにさまざまな釉薬を作ることができ、表現の幅も広がります。
珪石
「溶ける」「つなぐ」「ガラス」の3つの性質が釉薬には必要なので、主成分がガラスである珪石も必要になります。
鉄
鉄はカメレオンのように七変化します。含有量や焼成温度によって青・赤・黄・黒などさまざまな色を作ることができます。
銅
織部など緑色を作りたいときは銅を混ぜて作ります。
自分で釉薬を作ってみる
陶芸を始めたばかりの方は、自分の土は何度で焼き締まるのか?をまず知ることから。
売られている釉薬を買ってきても良いですが、たくさん作ろうと思うと自分で作る方が安くすみます。勉強にもステップアップにもなるので、ぜひ作ってみましょう!