美濃焼

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美濃焼とは?

持っていた陶器が知らなかったけど美濃焼だった!なんて方も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、美濃焼は全国シェアの60%を占めており、日本の焼き物の代表と言っても過言ではありません。
身の回りにあるあれもこれも、実は美濃焼なんです。
今回は「焼き物界の革命児」とも呼ばれる美濃焼についてご紹介いたします。

美濃焼は岐阜県東濃地区で作られる陶磁器のこと。
多治見市をはじめ、土岐市、瑞浪市、可児市を中心に窯業が盛んな地域であり、現在の土岐市は日本一の生産量を誇ります。
今でこそ様々なデザインを目にする美濃焼ですがその原点となったのは、華やかな桃山文化と茶の湯の流行とともに生まれた「美濃桃山陶」と呼ばれる、新しく開発された釉を使用した焼き物から始まります。

美濃桃山陶

織部

奇抜で大胆なフォルムと、織部釉と呼ばれる銅釉が特徴。
安土桃山時代を生きた武人にして茶人であった古田織部が、自身の好みに合わせて造らせたと言われ、名前の由来となったそうです。

志野

志野釉と呼ばれる長石釉をかけた白色系の釉調が基本的なもので、淡雪がうっすらと積もったような白色が特徴です。
また、鉄絵を用いたことも大きな特徴の一つ。鉄を含んだ絵具で絵を描き、釉薬をかけて焼くと鉄絵が浮かび上がります。今までなかったこの技法は、大変画期的なものでした。

黄瀬戸

黄色に焼きあがった色と端正な形が特徴。
代表的な技法に、硫酸銅が原料で緑色に発色する胆礬(たんばん)と、鉄が主原料で茶褐色に発色する鉄彩があります。

瀬戸黒

高音で真っ赤に焼いたうつわを、窯から引き出し急冷させることで、釉薬の鉄分が黒く現れること。茶碗に特化しており、「引き出し黒」と呼ばれるその漆黒は茶人たちに喜ばれていました。
またその形状も、従来の丸みを帯びた茶碗とは異なり、高台が低く、裾の部分が角ばった半筒形。既存の概念にとらわれない自由なフォルムも人々を魅了しました。

おすすめの美濃作家

加藤芳平

自作の鉄筆で繊細に掘り出された線と、独創的な牡丹の絵柄が美しい加藤さんのうつわ。やさしい彩りが、テーブルと共に気持ちを明るくさせます。ひとつひとつが丁寧で、安定感のある仕上げとなっており、美濃焼の伝統工芸士らしい巧みな技が感じられます。

兵山窯

桃山時代からの歴史を持つ兵山窯。織田信長にうつわを献上し、その技を讃えられ、羽柴の姓をもらったというエピソードもあります。
独自の技法であるサビかいらぎを初め、粉引、三島、赤絵、朝鮮唐津など表現は多岐にわたります。どのうつわもスマートな形で重なりも美しく、食器棚がスッキリ整う、使い勝手の良さも嬉しいですね。

牧田亮(ま工房)

愛嬌たっぷりで個性が光る動物たちに心奪われるファンが多い牧田さんのうつわ。ひとつひとつ表情が違うので、グッとくる動物を選ぶのがとても楽しいです。

最後に

「特徴がないことが特徴」とも言われる美濃焼。しかしそれは全国トップのシェア率を誇るように、食卓のうつわを支える存在となり、今の時代にあったうつわの模索が続けられているからこそ。

釉薬の流れやいびつな形を表情として楽しむ茶人好みの美濃焼らしさはもちろんのこと、幅広い表現力・技術力によって、移り行く時代に合わせられることは美濃焼の強みと言えます。

「特徴がないことが特徴」とは、皮肉を込めた褒め言葉ですね。

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