波佐見作家 小林巧征さん

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和食器について学び始めて、一番最初に「私にも使いやすそう」と購入したのが小林巧征さんのうつわでした。
私にとっては初めての和食器。大きさもデザインも大好きで、毎日使っています。
(ちなみに藍よつ葉4.5寸ボウルを買いました!丼にも山盛りサラダにもぴったりです。)

初めて和食器を使う人にも親切で使いやすいうつわを作られている小林さんに、今回はじっくりとお話を伺いました。

目次

プロフィール

2011~2013年 九谷焼技術研修所
2013~2017年 九谷青窯
2018年~ 敏彩窯入社と同時に作家として活動 

Q&A

陶芸の道に進もうと思った理由・きっかけを教えてください。

焼き物の産地で窯元に産まれた為、幼い頃から身近に焼き物があり、触れる機会が多かったからです。

元々ものづくりがお好きでしたか?

小学生の頃から美術の授業だけが好きでした。家でもよく広告紙の裏に絵を描いてましたね。

高校や大学時代にデザイン関係を学ばれていたそうですが、最終的になぜ陶芸を選んだのでしょうか?
(決め手になった出来事なども教えてください)

決め手は特に無かったんですけど、僕自身流れに身を任せるタイプで正直なんとなくやってみようかな…という感じです。

ご実家は波佐見焼をされていますが、なぜ九谷焼を勉強しようと思ったのですか?

九谷を選んだのも流れです。父親の知り合いから九谷青窯を紹介していただきました。

九谷焼技術研修所や九谷青窯では、どのようなことを学ばれていましたか?
教わったことで、今も大切にしていることや言葉、また思い出に残っている出来事なども教えてください。

焼き物を始めた頃は、好きなモノを好きなように作ってたんですけど、「うつわってなんだろう?」としっかり考えるようになりました。使う人の顔や情景も想像しながら作ります。
そう問いかけをしながら作るようになったのは、やはり実際に窯元で働き始めて、お店の方々と直接お話しさせて頂く機会が増えたからだと思います。
なかなか自分の中でのはっきりとした「答え」はまだ見つかってないので、一生勉強ですね。

ご実家に戻って陶芸・仕事をする上で、困ったこと、大変だったことを教えてください。

波佐見焼は量産が得意な産地ですが、僕は一つ一つ手作りにこだわってます。その点では流通の方法が難しかったですね。

コスト面もそうなんですけど、寸法の誤差だったりちょっとのゆがみ、釉薬が流れてたりなど、手作りならではの良さはB級品とされたりするので…
結局ネットや九谷時代の付き合いなどを利用して自分の力でなんとか流通させています。

陶芸の道に進もう!と思った時、陶芸一本で生活をしていくことへの不安や葛藤はありましたか?
その時の気持ちは、どのように折り合いをつけられましたか?

焼き物の道に入ったのは二十歳の時なので、不安などはありませんでした。若者のノリ、若気の至りというやつですね。

陶芸をしていて楽しい時・夢中になれる瞬間を教えてください。

ロクロを回してる時は無心になれますね。

僕の無心は本当に無心で、ただひたすらにロボットのように決まった手順、ペースで作っています。
これが心地いい感情なのかはよくわかりませんが、時間の流れはあっという間ですし、苦痛はないので心地いいのだと思います。

陶芸家としてのこれからの目標や夢を教えてください。

目標などはまあまり持った事ないですが今できる事を今後も精一杯続けていきたいです。一つ一つ丁寧な仕事を心がけていきます。

小林さんのうつわは呉須とサビの表現が印象的で、個人的にも大好きなのですが、呉須とサビをメインに表現することへの、こだわりはありますか?
また、モチーフはどのように決めていますか?

自分がその雰囲気が好きだからというのもありますが、実家のうつわが呉須とサビが特徴で、その影響もあるかもしれません。

モチーフは日常生活で目に入る自然の風景からデザイン化したりします。でも、実はノートにテキトーに手が動くように落書きして、うつわに落とし込めそうな落書きを掘り下げてデザイン化したりすることが多いです。要するにモチーフも何もない絵。
なので、商品タイトルがいつも定まってなくフワフワしたものになって困ってます。

すべての作業を一貫して、ご自身で行うことへのこだわりなどはありますか?

人それぞれ手の癖がありますので、他人が作った生地(特にロクロ成形)はやはり違和感があります。焼き上がりの雰囲気も違ってくるので出来るだけ一貫して行っていきたいです。

個人的に気になったことなのですが、白磁シリーズの立体的な表現は、どのようにして作られているのでしょうか?また、技法として名称がありましたら教えてください。

はっきりとした技法は無さそうですが、強いて上げると「陽刻」と呼ばれる技法になるかと思います。
土(泥粧)で絵を描くイメージです。

最後に

小林さんのお話いかがでしたでしょうか?
何度か登場したキーワードに”流れ”という言葉がありましたね。
その時の巡り合わせや人とのつながり、直感的な勢いなど、いろんな流れを大切にされている小林さん。
改めてうつわを拝見してみると、さらに小林さんとうつわとの距離感が感じられて、なんだか良いですよね。
(うまく言えなくてすいません・・・)

流れに身を任せるって、なかなか勇気のいることだと思います。
でもそんなふうに感じさせない、伸び伸びとした心持ちで陶芸の道を歩まれている姿が、すごく素敵で羨ましいとすら思ってしまいました。
伸びやかで気持ちの良い小林さんのうつわ、ぜひ皆さんにもお手にとっていただけたらと思います。

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