笠間作家 長嶺憲幸さん

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2022年3月にaltoyo横浜元町店で、展示イベントをしてくださった長嶺さん。

スタッフと「こんなに綺麗なしのぎは初めて見たよね!」と感動しながら眺めていました。
ふんわり優しい粉引と、ガリッとクールな鉄釉のコントラストが素敵なんです。
しかも、デザインも価格帯も初めての和食器として手に取りやすいのが驚き!
そんな長嶺さんに、今回はじっくりとお話を伺いました。

目次

プロフィール

1973年 千葉県松戸市に生まれる
1991年 千葉県立松戸矢切高等学校卒業
1992年 笠間焼窯元(株)向山窯に入社、増渕浩二氏に師事
2004年 笠間焼伝統工芸士に認定
2014年 現在地にて築窯独立

Q&A

陶芸の道に進もうと思った理由・きっかけを教えてください。

高校を卒業してから、自分に自信の持てるものがなかったので、どうせないのであれば自分がやったことない道に進んでみようと思いました。
どちらかというと体育会系だったんですけど、美術系に進んでみようと思ったのが最初のきっかけですね!

美術系の中でも陶芸は少し特殊なジャンルだと思うのですが、陶芸にしたのはなぜですか?

テレビとかで見て知って、「こんな世界があるんだ」と知って、ダメ元でやってみよう!って感じですね。
ご縁があったこともあって、出身地の千葉から一番近い茨城の笠間に。
笠間という地名も、笠間焼の存在も知らない状態で決めたんですよ笑

元々ものづくりがお好きでしたか?

いやいや〜、ものづくりは全然好きじゃないんですよ笑
小中学生の時に、ラジコンやプラモデルを作る程度ですね。
特に美術の授業が好きとかじゃなかったんです。

陶芸の学校に進学しなかったのはなぜですか?

これもご縁で、窯業指導所(現在の茨城県立笠間陶芸大学校)というところで、窯元で仕事の手伝いをしながら指導所に通うことができる場所があったんです。
だから最初はそこに行こうと思ったんですが、その年の定員がいっぱいで、そこから紹介してもらったのが向山窯でした。

向山窯ではどんなことを学ばれましたか?

とにかく数を作ることをさせてもらったと思っています。今でもそう思います。
なかなか一つの作家さんや窯元さんで、同じものを何千何万と作る機会ってないんですけど、向山窯は手作りの量産体制をちゃんと敷いていて、そこに重きを置いていたんです。
手作りで1日800個くらい。ずっと同じものを作り続ける仕事をこなしながら、ものづくりを学んでいきました。

教えていただいたことで特に大切にしていること・心に響いたことを教えてください。

独立直前に言われたことが一番心に残っていて、「正しく生きる」ってことですね。
常に自問自答を繰り返ししながら作らなきゃダメだとか。
いつも常に創意工夫をしていなければ、さあ明日から工夫しましょうって言ったって、すぐできるものじゃないですよね?
そういう意味の「正しく生きる」だと思っています。
ここで満足しちゃいけない、常に向上心を持ちなさいということですかね。
今でも印象に残っています。

たくさんある技法の中でしのぎを主に使用されていますが、そのこだわりを教えてください。

実はしのぎへのこだわりって、あんまりないんです笑
向山窯に入社した時、いずれ自分で独り立ちするんだと思っていました。
というのも「ものづくりの基礎を覚えたら、あなたは独立するんでしょう」と社長に言われたので。
なかなかこのご時世で20年勉強させてもらうってなかなかないと思うんです。長くて5年とか?
その分、本当にいろんなことをさせてもらいました。

その中でたまたま粉引を知って、うつわのベースは白の方がいいんじゃないかと思ったんです。
そこから発展していって、今のしのぎになりました。
せっかくこのしのぎをするのであれば、しのぎのラインが綺麗に見えるような形を意識しています。
元々ろくろの仕事をメインにしているので、ここ十何年の仕事がしのぎメインになってきたってだけですね。

20年以上やってきた勉強の中で、とにかくろくろをやらせてもらっていたので、そこがわたしのベースになっていると思っています。
そこから発展してきたのが、たまたましのぎだったっという流れですかね。
ただ、しのぎを施すのであれば、しのぎが綺麗に見える形っていうのを考えています。
色に関しては白の対局として、鉄の黒を後から作ったという感じです。

デザインも価格帯も初めての和食器として手に取りやすいなと思ったのですが、価格帯にも気を配っていらっしゃるのでしょうか?

そうですね。やっぱりそこも大事かなと思ってます。
数が作れることは、他の方にはない自分の武器かなと思っているので、そこを最大限に活かすのは単価を抑えること。
あとは「使い勝手良さそう」「安いね」と気軽に買ってもらって、陶芸の入門編のようなイメージで作っています。なるべく広く使っていただこうという意識をしていますね。

一つのところに長くいらした分、独立する時に大変だったのではと思ったのですが、実際のところどうでしたか?

10年ちょっとした時に、社内独立という「半分自分の名前で売っていいよ」という制度があったんです。
そうすると工房での週6勤務以外に見えてくるものがあって、自分で作ったものを自分で運んでお客さんと話す中で、発見するものって結構あって・・・、そんな段階を踏まえながら独立しました。
陶芸の世界に入って20年=成人と思って、そろそろ卒業しなきゃって感じで独立に至りました。

うつわを作るときに大切にしていること・気をつけていることを教えてください。

多くの人に使ってもらいたいってことですかねー。
あとはいずれ自分が教える立場にならないといけないなと。
伝統工芸の世界に若くて飛び込んでくれる方は少ないと思うんですが、それなりにやりがいはあるんじゃないかと思ってます。
自分が当時入社時の年齢の若い子にも教えていきたいですね。

最後に

長嶺さんのお話いかがでしたか?
長嶺さんがご自身のことを作家ではなく「職人」と言っていたことが、わたしには印象深かったです。
ものづくりに元々前向きでなかったこと、でも挑戦してみたこと、積み重ねて得たもの・・・
お話を最後まで聞いて、ああ確かに「職人」さんだなと納得しました。

作家さんはうつわに対しても「作品」という言葉がしっくりきますが、長嶺さんのは確かに「うつわ」だなと思いました。
そして、自分がうつわ作りに対してできることをコツコツと、真摯に向き合う姿はまさに「職人」。
陶芸への姿勢も、進む道の選び方もなんだかかっこいいですよね。
清々しいというか、気持ちがいいというか・・・うーん、わたしにはできないなと思いました・・・。

和食器好きの方はもちろん、まだ和食器を使ったことがない方も、ぜひ長嶺さんのうつわから初めてみてはいかがでしょうか?

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