こま製陶所 文山香菜江さん

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たくさん作品を抱えて、汐汲坂を登ってきてくださったこま製陶所の文山香菜江さん。
謙虚で優しい雰囲気の中に、どこか芯のある方というのが個人的な第一印象でした。

altoyoの前にあった和食器屋「ボクノワタシノ」さんにうつわを置いていらしたそうで、その繋がりでaltoyoにも置かせていただくことになりました。
わたしたちが通っている陶芸教室きらくでは、講師としていらっしゃるそうですよ!

目次

プロフィール

2004〜2006年 室生山 宝泉窯 弟子入り
2007年 株式会社ゆう工房 ろくろ指導
2008年 京都府立陶工高等訓練校 成形科
2009〜2011年 陶楽陶苑 ろくろ師
2015年 株式会社スタジオ有理 ろくろ師
2021年 神奈川県大磯に工房を構える

Q&A

陶芸の道に進もうと思った理由・きっかけを教えてください。

一度大学時代に信楽で陶芸体験に行きましたが、思ったように作れませんでした。普段器用な方なので「なんだこれは?」っと思って、その先を知りたくなってしまったことがきっかけです。
その頃は大学3年を目前にして、自分が就活をして会社員になるビジョンがどうにも持てず暮らしていました。漠然と子供の頃からあった「何かしらの職人の世界」への憧れを周りの大人に話したところ、陶芸家の方から「じゃあ陶芸やってみたら?」と。その伝手で奈良の室生山 宝泉窯 杉本師匠の下に弟子入りすることになりました。

元々ものづくりがお好きでしたか?

祖父はものづくりをよくする人で、それを見て育ったからか「なければ作る」の精神が根付いています。何か見る時も工程を予想したり、工房も夫と二人で建築しました。

宝泉窯で修行をされてから、学校に通おうと思った理由・きっかけを教えてください。

宝泉窯では挫折を経験しました。大学卒業してすぐの若さもあって、身の周りをうまく管理できず、生活上も精神的にも無理がたたって予定していた半分の期間でお暇をいただくことになってしまいました。
宝泉窯ではろくろ技術を徹底的に叩き込んでいただきました。それは私の一生の財産なのですが、一方で師匠と同じようなものを自分は作れないだろうと感じていました。じゃあ自分の作品をどうやって生み出していこうかと考えた時に、自分には技も感性も引き出しがまだ全然足りないと感じました。それでまた他の窯元で働くことを考え、産地の訓練校なら行き先の選択肢が多く持てると思い受験しました。

工房でお仕事をされたり、陶芸の学校に通われたりと、いろんな場所で陶芸を学ばれていますが、一番思い出深い場所はありますか?また、教わったことで今も大切にしていることや言葉なども教えてください。

たくさんありすぎて選べませんでした。どなたも大事なことを惜しみなく伝えて下さいました。働いた場所ばかりでなく、色々な工房に飛び入りでお話を伺ったり、道具を触らせてもらったこと、お仕事を見せて頂いたことも含めて大事にしています。
及ばずながら、私も陶芸を仕事として続けて繋げていくことが、色々な方のお気持ちに応えることになるのかなと思っています。

文山さんの作品はさまざまな色の釉薬を用いて、穏やかで優しいトーンが印象的だなと思うのですが、うつわ作りの工程の中でも釉薬作りがお好きなのでしょうか?

釉薬作りは好きです。高校生の頃化学が好きで、今もその延長で興味があります。周期表と睨めっこして推測するのは好きですし、これと思った試し焼きがうまく行くと嬉しいです。算数は苦手で、失敗の方が多いですけど。

文山さんが思う釉薬の魅力を教えてください。

釉薬には窯の中で流れた線の跡とか、ぶくぶく沸いた跡が残るものがあって、人間の手ではとても描けないものを作り出してくれていると思います。水とか霧とか岩のような表情で、眺めていて飽きません。「景色」という言い方はよく言ったものだなと思います。
ろくろから削りまできっちりしすぎていると味気ないので、釉薬にちょうど良く味付けしてもらっている感じです。

陶芸をしていて楽しい時・夢中になれる瞬間を教えてください。

一番好きなのは窯出しです。何となく特別感があります。夜遅めの時間になることが多いのですが、貫入の入る音とか、照明下で釉薬の結晶がキラキラ光るところとか、余熱で熱い作業の最後に夜風に当たるのも何か贅沢だなと思っています。

うつわを作るときに大切にしていること・気をつけていることを教えてください。

使い手の感覚から離れないように気をつけています。作り手感覚を優位にやっていると時々「こんなのもできるよ!」と暴走?する時があって、そういう時できたものは結果あまり良くなくて反省したりしています。今は主婦として毎日の献立をやっているせいか、段々その辺のバランスが取れてきているように思います。

陶芸家としてのこれからの目標や夢を教えてください。

目に留めて頂ける機会を増やして、お使い頂く方のお話を聴いてみたいと思っています。ひとまず、まだまだうつわのバリエーションが少ないので増やしていきたいです。

最後に

文山さんのお話いかがでしたか?
どんな場面でもご自身のことを客観視し、冷静な判断をされてきた文山香菜江さん。
陶芸に対する熱心な姿勢と、心から楽しんでいらっしゃるところが本当に素敵ですよね。
主婦をしながら作陶するのはとても大変だと思います。
しかし、うつわを一番使っている主婦の方々に最も近い目線でうつわ作りができることは、文山香菜江さんの強みなのかなと・・・。

現在altoyo横浜元町店にて、文山さんの作品を並べております!
ろくろの技術が光る文山香菜江さんのうつわはひとつひとつ質感や手触りが違うので、ぜひ手に取ってみてください。

オンラインストアでも文山さんのうつわをご覧いただけるようになりました!

文山香菜江さんの作品はinstagramでご覧いただけます!

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