作家 CHINATSUさん

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2022年10月22日よりaltoyo横浜元町店で、うつわの展示をされているCHINATSUさん。
10月15、16日に参加したミナトノファクトリーでも、1日会場にいてくださいました。
お客様やファンの方々と、献身的にお話しされており、皆さんそのお人柄に魅了されていらっしゃいましたよ。
わたし自身、今回お伺いしたCHINATSUさんの言葉に感銘を受けました。
少し気持ちが楽になったような、軽くなったような、そんな気持ちになりました。
皆さんもぜひ読んでみてください。

目次

Q&A

陶芸の道に進もうと思った理由・きっかけを教えてください。

デザイン専門学校を卒業後、デザイン事務所に就職。そこからフリーランスになりました。
子育てとフリーランスの両立は難しかったので、今は勤めていますが。
陶芸を始めたのは、子供が生まれる前の頃なんです。
住んでいるところの大家さんが陶芸をやっていることをたまたま知って、そこの教室に通わせていただくことになりました。
それが陶芸を始めたきっかけですね。
子供が産まれてからは少し離れていたんですが、大きくなってきたのでまた始めるようになったんです。

元々ものづくりがお好きでしたか?

絵を描くことは好きでしたね。
父が趣味で陶芸をやったり、祖父や叔母も絵を描いていたり、周りに物作りをする人が多い家でした。
自分も手を使って何かすることが好きなんです。
自分がキュンとなるものを作る、最初はヘアスタイルだったんですけど、今はそれがうつわになってるんです。

うつわの内側を削る作業は、非常に難易度が高いと伺いましたが、なぜあえて取り入れたのですか?

思った形にしたかったから、ですね。
そもそも、ろくろで思った形にひけていれば、削る必要はないと思うんですけど、まだまだひけないので削って形を作ろうと思ったんです。
上手な人はきっと、最初からその形にできると思うんですが・・・。
そして多分、この荒い土だと粘りがないので、あまり広がった形にしてしまうと倒れてきてしまうし、柔らかいうちに削ると歪んでしまいます。
荒い土でこういうシャープな形をつくるとなると、少し厚みを持たせて作って削るのがいいのかなと。
最近は割と薄く作れるようになってきたんですが、この削った時のテクスチャがいいなと思っているので、今はわざわざ削っているという感じです。
ちゃんと陶芸の道を歩んで来られた方を追いかけても、多分同じようにはできないし、それだと売れないんじゃないかなと。
それならデザインをやってきた自分の色を出すにはどんなことができるかなと、ぼんやり考えながらやっているんだと思うんです。
何かしら自分らしいものを作りたいと思っているので、このテクスチャを大事にしています。

やはりデザイン性を心がけているところが大きいですか

そうですね。見たときに、素敵!って思わないと結局使わないと思うんです。
だから、形は大事だと思っています。
なおかつ、しっかり練って欠けにくくしたりとか、機能性ももちろん考えています。
使いやすい形と見た目がマッチするようなうつわができるように、日々考えて作っていますね。
世の中にうつわの形ってもう出尽くしていると思うので、じゃあその中でこの土で作ったらどうなるんだろう?と。
デザイン思考を生かして、自分が良いと思ったところを組み合わせてチャレンジしてみています。

陶芸の先生である大家さんはどんな方なんですか

色々と大らかで、とても勉強になる方なんです。
人によっては最悪と言うかもしれない経験を、楽しかった、面白かったと言える度量のある人。
こんな人がいるんだ!と、最初は驚きました。
自分で変に我を張って、いや俺はこうなんだ!と頑なにならず、素直に前向きに物事を捉える方。
どっちを選んでも良い方になるんだから、どっちでも良いじゃないかと。
もちろん自分の考えはあった上で、ですよ。笑
自分は元々斜めからものを見てしまうタイプだったのですが、少しずつ先生の考え方を吸収して、大らかになっていけたらなと思いながら教室に通っています。

正直、陶芸でこんなに色々とやらせてもらえるようになるとは思わなかったです。
陶芸ってやっぱり、窯元を出たり、専門学校を出たり、修行して独立して、と言う王道の道があるじゃないですか。
でも自分は今からそう言うことは難しいんだろうなって思ってたら、こんな(展示会をする)機会をいただけて。
だから固定概念を取っ払ってしまって良いのかもしれないな?と思いました。
こうじゃないといけないなんてことはなくて、どんな道でも良いじゃないかと。
自分の作品を良いと言ってくれる人がいることは、本当に嬉しいです。
自分を受け入れるというか、自分はこれで良いんだって思うのは、まだまだ難しいですけれど。笑

デザインの仕事って、私がいた環境では手を入れれば入れるほど洗練されていくし、良いものができると言う考え方だったんですが、陶芸はもう真逆で!
やればやればやるほどダメになっていくし、時間とタイミングが全てだし、頑張って作って焼いたらダメだったーとか。
どんなに適当にやっても、あっこれすごいじゃん!ってなってみたり。
こうじゃなきゃダメだって言う考え方は必要ないんですよね。
私のうつわはこんなに薄くて軽いけれど、和食器って重たくて、どっしり感が良いじゃないですか?
でも自分はこう言うのが好きなんだしやってみようと、自分にOKを出してやってみています。
もっとこうした方がいいとか、あれこれ考えてしまうタイプなんですけど、どんな出来上がりでもいいじゃん!って思ってやってみると、それを気に入ってくださる方もいるし。
誰かが認めてくれなくても、自分を否定しないで、自分で自分を褒めてあげて、自分にOKを出してあげる。
自分を褒めていると、他人のことも褒められるようになるんですよね。受け止められるというか。
あの人はそれでOKだし、だからできない自分もOK。
それに本当に自分は頑張っているんですよ。
わざと失敗しようと思って失敗するわけないじゃないですか?
頑張ってて失敗しちゃったり、一生懸命やってた中で起きてしまったりすることがほとんどだと思うんです。
物事は、良いことと悪いことが必ずセットになっているんですよね。
どう頑張っても悪い方しか見えない時があっても、必ず良いところがあるんですよ。
その両方を見る癖をつけると、心の波も少なくなるし、周りも優しくなるし、こんな風にいい出会いもありますし!笑
そんなことを考えながら陶芸をやっていますね。

CHINATSUさんの思う陶芸の魅力とはなんですか

陶芸って本当に無になれるんですよ。
やっぱり無になることって大事だと思うんです。
デザインの仕事ってやっぱり消費されているもの。その時のためだけに作っては捨てられて、って言う繰り返し。
そこに少し疑問を感じていましたし、仕事だけど、大量生産の大量消費に自分はちょっとついていけないなと。笑
でも陶芸って残るじゃないですか。いつかは割れてしまうかもしれないけど、毎日使ってもらえて、大事にしてもらえて。
最初は自分のために作っていましたが、残るものっていいなって思ったんです。

陶芸家としてのこれからの目標や夢を教えてください

いつか大家さんみたいな陶芸教室をやりたいなと思っています。
大家さんみたいな考え方を、もっと自分に染み込ませて。
親からそういう考え方をもらえなかった人や、周りにそういう大人がいなかった人が、大家さんみたいな人に出会って話すとすごくに楽になれると思うんです。
そして陶芸もやって無になれたりとか。
まず今は、せっかくこうやって展示の機会をいただけたので、もっといろんな人に知ってもらいながら、続けていけたらなと思います。
褒めてくれる人がいたり、いろんな人に会う機会が増えたり、自分にとってとても栄養になっているので。

最後に

CHINATSUさんのお話いかがでしたか?
CHINATSUさんにとって、陶芸を語る上で外せないのが大家さんの存在でしたね。
大家さんの人生をダイジェストで聞かせて頂いたのですが、これがまあ面白い!
映画にできそうなくらい濃い経験をされている方だからこその、考え方であり、言葉なんだなぁと納得しました。

そして、その思考を吸収中のÇHINATSUさんご自身も、さまざまな経験や苦労をされてきているからこそ、語る言葉に説得力があり、心身に染み込んでくる優しさがありました。
自分を含め、多くの方は一生懸命やったことや努力したことよりも、失敗したことに目を向けてしまうことが多いと思います。
なんなら前者の存在は無視してしまうことが多いかもしれません。
でも、自分で自分を認めてあげたり、自分を責めすぎないようにしたり、少しの意識で世界の見え方が変わってくるのかなと思いました。
(反省することと、自分を責めることは違うと思うので!)

そして「物事は、良いことと悪いことが必ずセットになっている」という言葉。
文面では知っていても、それを普段の生活の中で取り入れられているかというと、これも少し難しいですよね。
わかっちゃいるけど・・・という感じだと思います。笑
わたしもそうです。
でも、人も環境も良い方向に変わっていけるなら、何より自分自身が楽になれるなら、少しずつ意識して過ごしてみようかなと思いました。

また、デザイナーだからできるものづくりへの考え方や、要素の組み合わせ方が、CHINATSUさんの強みになっていると感じました。
様々なデザインやうつわを見て、その中でじゃあ自分はどれが好きか、どれを足したら面白いか。
そして、型に捉われずやりたいことに挑戦できる姿勢もすごく素敵だなと思いました。
敢えて荒い土を使って薄く作ること、内側を削ること、どれをとってもCHINATSUさんだからできる作り方だと思います。

現在altoyo横浜元町店にて、たくさん並べておりますので、ぜひ手に取ってみてください。

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