素朴なタッチの可愛らしい絵柄と、優しい色味が特徴的な加藤淳さんのうつわ。
初めて見た時「可愛い!」が止まらなかったです。
どれも素敵なのですが、特に人気なのがマグカップ。
もったりしたシルエットと絵柄の組み合わせに、一目惚れする方が多いんです。
そんな加藤さんに、今回はじっくりとお話を伺いました。
プロフィール
1964年 愛知県生まれ
1987年 岐阜大学卒業
1995年 愛知県窯業高等技術専門校卒業、岸本謙仁氏に師事
2002年 土岐市にて独立
Q&A
- 陶芸の道に進もうと思った理由・きっかけを教えてください。
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僕が通っていたのが岐阜大学農学部の農芸化学っていうとこだったんですけど。
周りのみんなは、卒業後大学院行って研究員やってたり、食品系の会社に就職する人が多かったんです。
でも自分は周りとは違う運送系に就職して働いてました。
そこで何か他にないかな?そもそも自分にあってる仕事ってないかな?と思って、自分探しの旅に出ようと思い立ったんです。
高校に修学旅行で行った岡山に、すごくいいところだなぁ〜と思い入れがあったので行ってみることに。
そこで備前焼と出会って「これだ!」と衝撃を受けました。
なんかこういうのできたらいいなと思ってやり始めたのがきっかけです。
まあ結局全然違うものを作ってるんですけど。笑 - 岸本謙仁さんの元ではではどんなことを学ばれましたか?
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実は陶芸のことを何にも知らない状態で弟子入りしまして、そこで一から学ばせてもらいました。
学んだ割には、そこを出てから学校に行って、また一から勉強してって感じですね。笑
作家先生のところに行くと、やっぱり個性的なことや難しいことをやっていらっしゃるので、やっていてもよくわからないなあという感じだったんですけど。
学校で改めて勉強して、あーこういうことやってんだーと、やっと結びついた感じでした。笑先生から教わったことを一言で言うなら「自分で考えなさい」ということ。
弟子の頃質問しても、答えてもらえたことはあまり多くなかったですね。
見て考えて学ぶという感じでした。そうすると少し結びついてきませんか?
先生のところでいろんなことを見てやらせてもらって、どうもわからない。
学校でもう一度基礎から学んで、見てきたことがだんだん理解できるようになっていく・・・
自分で学んで考えてみると、実際こんなに身についていくんだなと思いました。
今も常に考えることを意識して作っています。 - 一度作ったうつわの上から更に化粧土をかけて作られているそうですが、そのこだわりを教えてください。
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美濃焼って結構量産品が盛んなところなんです。
そこで、量産品と手作り品との区別をつけたいと思い、工夫していく中で今の方法に行き着きました。
もちろん手間はかかりますが、誰が見ても手作りだなとわかるようにしたいなと思って続けています。 - 可愛らしい絵柄がとても素敵だと思うのですが、どこから着想を得ているのでしょうか?
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基本的には抽象的な絵柄をしたいんです。
ただ抽象的なものだけだとお客様に伝わりにくいので、ちょこっと鳥や魚、花なんかを入れています。
そういうきっかけがあるだけで、お客様がイメージを作って楽しく選んでいただけるので、ワンポイント入れるようにしてますね。 - 元々ものづくりがお好きでしたか?
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そうですね。好きだからこその今の仕事ですね。
小さいときなんかは、プラモデルを見本通りに作らない子だったんですよ。笑
入ってるパーツを使って、全然違う自分の作りたいものを作ってたりしていました。 - 加藤さんが思う陶芸の魅力とは?
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自由で楽しいところですね。
売れることももちろんですが、いろいろ考えながら作って、「あ、これいいな」と思うものができた時は達成感があって楽しいです。 - 陶芸家としてのこれからの目標や夢を教えてください。
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目標などはあまり持った事がないですが、もっと素敵なうつわが作れるように、これからも続けていきたいと思います。
最後に
加藤さんのお話いかがでしたか?
一度就職されてから自分探しの旅という、まさかの展開に驚きました!
そこからの行動力にもびっくりですよね。
陶芸との出会いは、加藤さんの中で本当に大きな出来事だったんだなと感じました。
自分で考えて、決断して、行動する・・・
こうして聞いてみると当たり前のことと思うかもしれませんが、自覚を持って実行できている人はそう多くないのではないでしょうか?1人でそれを続けていくことは、本当に大変だと思います。
そして量産に負けないよう手作りにこだわり続けること。
そんな陶芸への一途な姿が、よりうつわを魅力的にしているのだと思いました。
加藤さんのうつわ、ぜひ皆さんにもお手にとっていただけたらと思います。